監修:東邦大学 名誉教授 石井延久先生
偽造ED治療薬は、 効果が得られないだけでなく 健康被害を及ぼす可能性もあります。
偽造バイアグラの多くは規定外。 中には安全性に問題があるものも。
偽造バイアグラには有効成分含有量が日本国内における承認範囲外であったり、 医薬品成分以外の異物が含まれていることや、全く異なる医薬品成分、覚せい剤まで含まれていたこともあり、効果が得られないだけでなく健康被害を及ぼす可能性もあります。
精巧に造られた偽造バイアグラでは、正規品と似せるためにプリンターインクを混ぜることも。
2009年2月、シンガポールより、SU剤(糖尿病治療薬)を含む偽造ED治療薬服用により150名が重症低血糖で入院し、うち7人が脳死状態、4人が死亡したことが報告された。
2011年4月に、奈良県薬務課から、ED治療薬の偽造品を服用した男性が意識障害を起こし、病院に搬送されるという事例や、偽造ED治療薬服用との因果関係は明らかではないものの、呼吸困難等で病院に搬送され死亡に至った男性の衣服から偽造ED治療薬がみつかる事例が報告されました。
インターネット等を通じて海外から個人輸入する医薬品は、 必ずしも品質が保証されているわけではありません。そのなかには偽造品も含まれます。 偽造バイアグラは効果がないだけでなく、不純物混入による健康被害を及ぼすことが報告されています。(海外事例参照)1~3)。
偽造バイアグラは知的財産権を侵害するものとみなされ、日本国内への持ち込みが禁止されています。 発見されれば処罰の対象となります。
不正規ルート(医療機関以外)で入手したバイアグラは、偽造品の可能性が高く、思わぬ健康被害も予想されます。 日本では、バイアグラは医師の処方が必要な処方箋医薬品です。 EDに関する相談、治療は、医療機関を受診していただくようお願いいたします。
偽造医薬品は危険で大きな問題があります。特にED治療薬は、毎年何百万もの偽造品が差し押さえられています。 欧州では250万人もの男性が違法の(偽造の)バイアグラを服用しており、 正規品(合法品)とおよそ同数の偽造品(違法品)が流通していると推定されています。 偽造のED治療薬は直接的・間接的に健康に害を及ぼす可能性があります。 直接的には、有効成分が含まれないばかりか有害な成分が入っていることがあります。 また間接的な影響としては、EDの合併症(糖尿病や高血圧)を診断・評価する機会が失われることがあります。 処方箋なしでED治療薬を購入された場合、医療機関を受診する機会を失い、合併症が放置されてしまうのです。
結城クリニック 院長 常松 定夫 先生